モーガン夫人の秘密
(個人的には予告編は不倫を前面に押し出しすぎててあんまり…いやまあメインは不倫なんですけど………映像美を楽しむ作品かなと思うので…)
これは…久しぶりにこんな映像美の塊みたいな作品を見た。
ケネス・ブラナーの『シンデレラ』並みにどのシーンを切り取っても完璧に絵になる。
まあ不倫モノよねと思いつつ、完全に出演者目当てで見始めたが最後。
戦後すぐのドイツが舞台ゆえ、勝った国にも負けた国にも大切な人を失った人々がごまんといて、戦争に勝つとか負けるとかは意味がなくて戦争自体が無意味なんだという当たり前のことを直視させられるしんどい描写もありつつ、美しいお屋敷、世界一クラシカルでエレガントな服が似合うキーラ・ナイトレイ、繊細で優しくて陰のあるキャラクターを演じたら世界一のアレクサンダー・スカルスガルド、抑えた演技の中に愛情と苦悩を詰め込みに詰め込んだジェイソン・クラーク、全部があわさってとんでもなく美しくて悲しい作品だった。
特にピアノの連弾シーンは、あまりの美しさとキーラ・ナイトレイの絞り出すような演技にボロ泣き。
戦争で子供を失ったうえに接収したドイツ人のお屋敷で屋根裏に所有者のドイツ人親子を住まわせての暮らし、ドイツ語は話せず、ドイツ人の使用人にはドイツ語で陰口を叩かれ、唯一悲しみを共有できるはずの夫は仕事(軍)で多忙ですれ違い、と寂しさ辛さのオンパレードみたいなキーラ・ナイトレイがいつもにも増して美しい。この状況に置かれたら、苦しみを分かち合える人との関係に救いを求めてしまうよね…。
そしてアレクサンダースカルスガルドの色気がいつもながら危険すぎるので、視聴後は色気による死者多数と思われます。
ラストは賛否両論あるのかなあ?だけど、静かで圧倒的な映像美と素晴らしい出演者、全体の抑えたトーン、戦争に翻弄される人々と彼らの愛、と『マリアンヌ』に通じるものがあった。
というわけで『マリアンヌ』が好きなかたはぜひ。
THE RIVERの記事がとても読み応えがありました。(ネタバレなしです)
映画『モーガン夫人の秘密』で考える不倫の心理 ─ 人妻は、夫に隠れて敵国の男と寝ていた | THE RIVER
『モーガン夫人の秘密』(“The Aftermath”)
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