武則天(武媚娘傳奇)第3集 蘭陵王の仮面

みなさまこんにちは。少し日が空いてしまいましたが、今日も中国ドラマ『武則天』の感想を書いていこうと思います。

 

ところで、明日1月14日(土)16時〜17時、無料チャンネルのBS12にて『武則天』総集編が放送されます。とはいえ、全部で82話あるところ、BS12ではすでに40話まで放送済なので、本当に銘打たれているとおり「今からでも間に合う」のか甚だ疑問ではありますが…。これまでずっと放送を追ってきた方の復習&懐かしみ用という感じでしょうかね。ただ、『武則天』の雰囲気と魅力を伝えるのには、この上なく良い素材となりそうです。

 

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※このドラマについての紹介記事はこちら。

ドラマ『武則天』に興味を持っていただけた方は、是非、BS12の公式サイトから再放送のリクエストを送ってみてください。(私自身、もう一度最初からBS12で観たいです!) 

 

 

第3集 "蘭陵王の仮面"あらすじ(BS12公式サイトより)

武如意は忍び込んだ承慶殿で美しい仮面を見つける。その仮面を着けて「蘭陵王」を舞っていると李世民が現れ武如意の手を取り踊り始める。だが、相手が陛下とは知らない武如意は仮面をつけたままその場を後にしてしまう。翌日、文徳皇后の宝が紛失しているとの知らせを受けた李世民は、盗んだ者は死罪にせよとの勅命を出す。武如意が持ち去った仮面がそれだったのだ。武如意は仮面を宝箱に入れて保管していたが、ある日、紛失に気づき…。

 

今回は、如意の謎行動が炸裂する回です。

 

前回、韋貴妃の命令で春盈が趙司楽のもとを訪れ、弱みを握っていることをそれとなく知らせたために、蘭陵王を舞うのは蕭薔に決まってしまいました。なんとなくもやもやするものがあったのか、如意は1人で夜の散歩へ出かけるのですが、見回り(?)の役人たちが通りがかります。それで如意は慌てて承慶殿の柱の陰へと隠れ、その拍子に背中で扉を押してしまって半ばアクシデント的に中へ入るのですが、まず、この承慶殿、普通の建物ではありません。なにせ入口の扉に物々しいお札のようなものがペケの字に貼ってあり、「貞観10年 封印」と書かれているのです。

偶発的に中へ入ってしまったことは仕方ないのですが、普通の感覚の人だとしばらく外の様子をうかがって、誰も居なくなったと思えばすぐにその建物を出るのではないでしょうか。しかしそこは如意。入ってみると荘厳な雰囲気なので、「美しいなあ、ルンルン」とくるりと舞ってみる能天気さ。まあ、ここまでは分からなくもない。そして建物内を探索してみると、美しい仮面が目に入ります。

 

さて、如意がここで何をするかというと、なんと仮面を着けて、蘭陵王の舞を踊り始めるのです。

私はこの記事を書いている現時点で第39集まで視聴済なので、その範囲で話をすると、如意がこの第2集ほど不思議ちゃんな行動をとったことは後にも先にも無かったように思います。たしかに如意は、常識はずれな行動をとりがちです。しかしそれは常に「普通の人ならそのような行動/発言はすることが"できない"」といった種類のもので、つまりは如意の何事も恐れず実行する性格ゆえの行動や発言なのです。

ところが今回如意が取った行動は、普通の人が"できない"というよりは"しない"行動です。特に私など小心者なので、まず承慶殿に入ってしまった時点でビクビクしていると思います。好奇心で辺りを見回し、仮に蘭陵王の仮面が目に入ったとしても、そばへ行って眺めるのがせいぜいといったところです。そこまで出来るかも分かりません。それなのに如意は平然と仮面を着け、舞を舞うのです。

確かに、蘭陵王の舞の踊り手に選ばれなかったことは、如意にとって少なからずショックな出来事であったことでしょう。李世民の前で公式に舞うことは許されなかった舞を、この場で舞ってみたい。飾られていた蘭陵王の仮面を目にした瞬間、そんな気持ちが自然と湧き上がってきたのかもしれません。しかし、冷静に考えてください。入口の封印された建物にあった、美しい装飾が施され、大きな宝石がごろごろとついた仮面ですよ。手に取ることすら憚られるのに、それを着けて舞う…。このときの如意の年齢が14、15歳であることを鑑みても、大胆すぎる行動です。観ている私は、誰か来ないかとヒヤヒヤ。

 

そして案の定、李世民が登場するわけですが、1ショットめ、柱の陰からジトーと見ている李世民がなんだか笑えます。「誰だ!」と咎めることもせず、不思議な力に引き寄せられるかのように、踊る如意のもとへ近づいていく李世民…そしてなんの前触れもなく、一緒に踊り始めます!一同爆笑!…すみません。ここは初めて李世民と如意が出会う、印象的かつロマンチックなシーン。笑っている場合ではありません。しかしですね、この時点で如意は皇帝の顔を知らないのです。なので、突然自分とともに踊り始めたおじさんに対して、誰あんた?となるのが普通の人の反応です。でも如意は普通の人ではないので、平気で一緒に踊ります。

いえ、私もわかっているんです。ここはギャグシーンでも、如意はやっぱり不思議ちゃんでしたということを示すシーンでもないということを。如意にとって李世民は、月並みな表現ですが"運命の人"なのです。もちろん如意は皇帝の姿を知らず、「太って禿げたオヤジ」かもしれないとすら思っている(cf. 第2集)ので、運命の人=唐の皇帝=いま一緒に踊っている人、だとは思っていません。でも、一緒に踊っている相手に対して、言葉にならないような感情をおぼえたのでしょう。胸の高鳴り、初めて一緒に踊るはずなのに合ってしまう呼吸。だからこそ、「え?なんか知らない人が勝手に一緒に踊ってくるんだけど…キモい」とか「誰だこのおっさん?」とはならなかったのです。李世民は李世民で、先ほどまで亡くなった文徳皇后や彼女の舞っていた蘭陵王の舞を思い出しながらお酒を飲んでいたこともあってか、一緒に踊っている相手は夢か幻かというように如意の肩をガシッと掴み、やっとこさ我に返った如意が走り去ってしまいます。文徳皇后と重ねて見たために惹かれたのか、それとも如意自体に惹かれたのか。この時点では前者でしょうかね。

 

この後の如意、折をみて仮面を承慶殿へ戻そうとするのですが、運悪くそこへ李世民と王徳がやってきてしまいます。それにしても王徳さんは苦労人ですね。労働時間が長すぎるように思えますが、お身体など大丈夫なのでしょうか。呑んだくれて如意と踊ったあげく承慶殿でぐーぐー寝ていた李世民を見つけ出して寝床まで運んだり、韋貴妃の一族について調べたり、承慶殿の仮面探しに奔走したり…。話が逸れました。あちこちで無節操に仮面を懐から取り出す如意に、視聴者も徐慧もヒヤヒヤ。徐慧に諭されているにもかかわらず屋外で仮面を取り出す、ベッドで仮面を取り出すなど、謎なくらい脇の甘い如意。困ったものです。このあたり本当に「早よ返しや〜!」「そんなとこで仮面出しとったらあかんよ!」などと小言を言ってやりたくなります(笑)それくらい魅力のある仮面、というか仮面を見ることで「あの殿方素敵だったな♡」という気持ちに浸っているのでしょうね。しかし衣服の切れ端だとかガラスの靴(!?)ならそれも良いかもしれませんが、やはり国宝級の宝をベッドの中で愛でるのはよろしくありません。ところで徐慧さん、結果的には李世民に見つかりかけた如意のピンチを救ってくれることになったけど、「私もうちょっと残ってから帰るわ〜」と言っていた如意の後を追ってきていたなんて。この時代だから仕方ないかもしれませんが、プライバシーがないですね。

 

いつも憎らしいとはいえ、ちょっと不憫なのは蕭薔。期待と得意げな気持ちで胸をふくらませて李世民のもとへと向かったのに、肝心の李世民は、承慶殿で如意と踊っているなんて。まあ、蕭薔はそのことは知らないのですが。おまけにずっと薄着で跪いていたせいで風邪をひいてしまい、肝心の蘭陵王の舞を舞えず、如意に大役を奪われてしまいます。(風邪をひいて寝込んでいるときに看病している春盈が、まったくやる気がないのが可笑しいです。)しかし転んでもただでは起きない蕭薔。如意が承慶殿の仮面を隠し持っていることに気づいて罠を仕掛け、李世民の前で如意が仮面を着けて舞わざるを得ない状況に追い込みます。…やっぱり不憫じゃない!!

 

李世民や貴妃・淑妃・徳妃たちの前で蘭陵王の舞を舞う如意。当然、皆は如意が承慶殿の仮面を着けていることに気づきます。

李世民に咎められ、如意ピンチ!というところで、第3集はおしまいです。