バイオハザードⅤ リトリビューション

現在、最新作にしてシリーズ最後の作品、『バイオハザード:ザ・ファイナル』が絶賛公開中ですが、今回はその1つ前、『バイオハザードⅤ リトリビューション』について書きたいと思います。

先週の土曜日、地上波にて放送されたところですね。

以下、映画版はローマ数字、ゲーム版についてはアラビア数字で記載します。

 

※最新作の感想はこちら。上映中のためネタバレはなし。

gisele007.hatenablog.com

 

毎回「そして、アリスとアンブレラ社との最後の戦いが幕を開けるのであった。次回、乞うご期待!」って感じで映画が終わるので、もはやストーリーも何もあったもんじゃなく、監督であるポール・W・S・アンダーソンによる奥さん(=ミラ・ジョヴォヴィッチ)自慢映画となっている感もある、このシリーズ。(というかそれがメイン)

Ⅰ・Ⅱは一般的に「ゲームのバイオハザードが元ネタとなった映画」と聞いてイメージされるようなホラーメインの作風ですが、Ⅲからは、ゾンビっぽいものが出ているだけのアクション映画に変わっています。

おそらくはアクションをメインに据えたほうがミラを美しく撮ることができるからでは?と思いますし、実際、世間でもそう捉えられているのではないかな??

 

一応監督を擁護しておくと、ゲームのファンの方には周知の事実ながら、バイオハザードシリーズは4以降、大きく方向性を転換しています。

ナンバリング作品に限って言うと、1〜3、その次の0までは、監視カメラの映像を見ているような、視点の固定された画面の中で、画面内のキャラクターが動くのにあわせてカメラが次々に切り替わっていきました。しかしながら、この方式では、さっきまで画面下方を向いていたキャラクターが、カメラ切り替え後は画面上方を向いている、という状態になり、移動のため方向キーを押しっぱなしにしているとキャラクターがあっちゃこっちゃ行ってしまうので、それを防ぐためラジコン操作と呼ばれる操作方法がとられていました。

「意図せずバイオハザードに巻き込まれてしまった主人公たちが、命からがら閉鎖空間から脱出する」という、シリーズ初期のホラーを基調としたコンセプトに、視点固定方式とラジコン操作は相性抜群でした。キャラクターの前方が確認できないため、プレイヤーは、「この先へ進むと、あるいは曲がり角を曲がると、何かいるのではないか?」という恐怖に常にさらされていたわけです。また、ラジコン操作という直感的でない操作方法により、突然ゾンビに襲われた際にプレイヤーがパニクりやすく、パニクったままキャラクターが死亡=ゲームオーバーとなることも多々あり、「逃げられない=怖い!」という心理に一役買っていました。(余談ですが、PS3/PS4版で発売されている、ゲームキューブ版で発売されていたリメイク版『BIOHAZARD』を基にした『BIOHAZARD HD REMASTER』においては、初めてゲームオーバーになると「バイオハザードへようこそ」というトロフィーが獲得できるというニクい仕掛けがあります)

 

しかしながら、技術の向上と商業的な理由(目新しい要素を盛り込まないと売り上げが見込めない)から、4〜6においてはラジコン操作が廃止され、TPSが採用されました。つまり、プレイヤーは、肩越しの視点から直感的にキャラクターを操作するようになったのです。これによって前方の確認が容易になったので、シリーズ初期のホラー色は薄れました。かわって、アクション性が向上したため、ストーリーもこれまでの脱出メインのストーリーから、最初からある程度武装した主人公たちが、何者かの手によって意図的に創り出された生物兵器(B.O.W.)と戦っていく、というストーリーへ変わっていきました。

 

というわけで、元ネタであるゲーム自体が、1〜0はホラー、4〜6はアクションというふうに変わっているので、映画がⅢ以降アクション映画と化している点については、個人的にはあまり気になっていなかったりします。あと、Ⅳ以降ゲームへのオマージュがてんこ盛り気味なのは素直に嬉しいです。

ただ、映画版『バイオハザード』は、ゲーム版を知らない、もしくは過去にプレイしていたこともあるが離れて久しい、という方も多く鑑賞されていることでしょう。ゲーム版全体への思い入れが特になく『バイオハザード』を観るということは、一般的なゾンビ映画を期待して観ているケースが多いのではないかと思うので、そういった方にとっては、Ⅲ以降はストーリー性にも乏しく、ミラ・ジョヴォヴィッチは美しいけどなんか単調なアクション映画、という印象にならざるを得ないと思います。このあたりは監督というか脚本というか、どっちも同じ人なんですけど、もうちょっと頑張ってほしかったかなとは思います。 

 

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ストーリー的にはⅠからそのままザ・ファイナルにいってもなんの違和感もないほど、Ⅱ〜Ⅴの存在感が薄く、もはや、アクションシーン付きでキャラ紹介をしているだけじゃないか?と思えるレベルなのですが、その中でも群を抜いて極薄ストーリーぶりを発揮しているのが『バイオハザードⅤ リトリビューション』です。

前作のラスト〜本作序盤にて、洗脳されたジル率いるアンブレラ部隊に急襲され、またしても捕らえられて紙切れを貼り付けただけの姿になってしまったアリスが、なぜだかアンブレラを裏切ったウェスカーと、その配下であるエイダたちとともにアンブレラの施設からの脱出を目指す、というストーリー。

舞台は東京、モスクワと一見すると色々なところで戦っているのですが、すべてアンブレラ社の訓練施設内なので、実際の街で戦うわけではありません。

もしこの作品を見忘れて『ザ・ファイナル』を観たとしても、何も困ることはないでしょう。そのぐらい何も進展しないです。

 

ただし狂信的なIのファンの方と、ゲームファンの方には、ぜひ観てください、と申し上げます。なぜならIのワン隊長(レーザーグリッドの通路にて、サイコロ状にカットされて死亡)とレイン(演じるのはミシェル・ロドリゲス)が、クローンとして再登場。レインなんて、一般市民バージョンと、アンブレラ社戦闘員バージョンの計2体も登場します。

ちなみにII・IIIのカルロスも、トッドという名前のクローンと、アンブレラ社戦闘員クローンとして再登場。トッドのほうは、同じくクローンである一般市民アリスの夫としての登場です。

トッドとクローンアリスの幸せな家庭生活シーン…あれ、バイオハザードってこんな話だっけ?と思いきやアンデッドが入ってきて阿鼻叫喚、という序盤のシーンは、予告編に使われていたので、見覚えのある方も多いかと。

 

また、ゲームの定番キャラクターのうち、ジル、クリス、クレア、ウェスカーについては登場済みであるものの、本作品ではレオン、バリー、エイダが初登場!

前作ラストに続いて今回も5の金髪バトルスーツ姿で登場するジルは、演じるシエンナ・ギロリーの努力によって原作にかなり忠実に再現されていると思いますし、クリスも5・6のゴリスクリスだと思えば、まあこんなものかなという感じでした。『ザ・ファイナル』にも登場するクレアは少々ゲーム版よりいかついですが、演じるアリ・ラーターが健康的で魅力があるのでよろしいかと。そしてウェスカーは金髪でサングラスをかけていれば大体ウェスカーに見えるので、何人かの役者さんが演じていますが問題なし!

 

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これまで登場したキャラクターたちがこういった調子なので、私はレオン、バリー、エイダの登場にわくわくしていました。

実際に映画の中に登場した彼らは、バリーは少々痩せ気味なものの許容範囲、ここぞの見せ場で"I have this."を言わなかったことと、陰が妙に薄かったことは解せませんが、まあよしとしましょう。エイダはもうすこし長身モデル体型切れ長の目の東洋美女のイメージであったものの、中国人女優リー・ビンビンが演じていることもあってそれなりに美しく、これまた許容範囲。ゲームでは移動にしか使ってないフックショットを攻撃にも使用します。どうせならボウガンも使って欲しかったけれど、それは言うまい。

 

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問題はレオン。レオン・S・ケネディ。ラクーンシティ警察への配属前日に彼女との別れ話のあげく呑んだくれ、初日から重役出勤かましてみたら、同僚が皆ゾンビになっていたレオン。ヨーロッパの農村で、敵に革ジャンを奪われて着られちゃうレオン。護衛対象である大統領令嬢のスカートの中をあの手この手で覗こうとして「ヘンタイ…」なんて言われちゃうレオン(プレイヤーのせいです)。エイダのためならクリスをもフルボッコにする勢いのレオン。4にて、サラサラブロンドヘアでプレイヤーを虜にしたレオン。どんなピンチにもギャグと自虐を忘れないレオン。そんな彼が映画に出てきたら、どんなに格好いいことでしょう。6のレオンがベースでもいいわ。渋い彼も好きだし。

 

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世の幾多のファンがそう思って映画館へ足を運んだり、ディスクを再生したり、地上波放送を待ちかねたりしたはずです。

さあ、お待ちかね、実写版レオンが登場しましたよ〜!

 

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・・・・・・?

どちら様ですか?と言う気力さえ、誰にもなかったと思います。それくらい、衝撃的になんの特徴もないレオンがそこにはいました(役者さんごめんなさい)。一応4で着ていた革ジャンを着ているのが、せめてもの救いです(そうか?)。

というわけで、全国のレオンファンの皆さんは、歴史に名を残す"これじゃないレオン"をご自身の目で是非ごらんください。画面に彼が映るたびに、なんだか気恥ずかしいような、むず痒いような、そんな複雑な気持ちになれますよ。

 

登場する主なクリーチャー

ジル

前作ラストから引き続き登場。5での登場時と同じく、金髪ポニーテール&バトルスーツ姿。5と違って、胸元のデバイスは結構簡単に外すことができ、アリスがデバイスを外したあと正気を取り戻した。肉体強化の描写はないので詳細は不明。アリスを圧倒するほどの強さだが、Ⅱの時点でかなり強かったうえ、今回のアリスはtウイルスに感染していない通常状態なので、強化はされていないのかもしれない。

 

マジニ

Ⅳに引き続き登場。5でいうところの市民マジニ。ただし素手。人間の口から、お花のような捕食器を露出させて襲ってくる。

サラザール家(4で登場)のお城の地下に封印されていたプラーガ(寄生虫)タイプ1の改良版・タイプ2を人間に投与したものが、5におけるマジニなので、tウイルス感染者であるゾンビとは別物のはずだが、映画内では単に強化版ゾンビとして扱われている模様。

 

処刑マジニ

こちらもⅣに引き続き登場。今回は2体揃っての登場。走るので5の処刑マジニより怖いはずだが、無敵のアリスが主人公だからか2体いてもそれほど怖くない、かわいそうな役回り。

 

チェーンソーマジニ

後述のプラーガアンデッドのうちの強そうな個体に、後付けでチェーンソーを持たせたらしい。ずた袋はかぶっておらず、プレイヤーランクが高い場合に起き上がってくることもない。

 

プラーガ

アンブレラ部隊バージョンのクローンレインが、終盤、自らの力の強化のために使用。注射器に入っていて、見た目は4のプラーガ(卵)もしくはプラーガ(幼生)。体内に注入したあともアリスたちと会話しているので、支配種プラーガと思われる。なお、注射器に入ったプラーガを見たざんねんレオンが、「プラーガ寄生虫だ」と発言している。

注入後のレインは、銃弾を浴びせられても、X-MENのウルヴァリン並みにものともせず、Ⅳからの続投であるルーサー(元バスケ選手)とレオンの2人を相手にしても余裕。ザ・マーセナリーズにてウェスカーが使う体術"先崩掌打"っぽい動きでレオンをボコボコにし、ルーサーの心臓を止めてしまう。

 

プラーガアンデッド

5のライダーマジニや武装兵マジニ、もしくは6のジュアヴォ的な存在だが、名前の通りアンデッドであるところが違い(たぶん)。バイクに乗ったり銃を扱ったりできる。プラーガとtウイルスの両方を投与されているらしい。

 

リッカー改

巨大なリッカー。『エイリアン』のように、繭の中に捕まえてきた人間を入れておく習性があるらしい。どのようにして生み出されたのかは不明。単に大きいリッカーなのでスタッフ間でリッカー改と呼ばれていただけで、2のリッカー改(ゾンビ改がリッカー化したもの)とは関係なさそう。

 

 

Resident Evil: Retribution 2012年9月14日公開

 

 

 

 

 

最初は好きじゃなかったけど、やり始めたらハマりまくった5。

 

 

 

本来のイケメンレオンをお楽しみください。セリフがいちいち格好いい。