天使と悪魔

 

※この記事は、映画の公開当時(2009年5月)に書いたものです。 

 

天使と悪魔』、観てきました!
週末とはいえ平日ということもあってか、劇場はそんなに混み混みではなかったです。

心配だった残虐シーン(?)も、大丈夫な程度になってましたよ。

劇中で結構飛び交うイタリア語がすごいかっこよく聴こえました。
他言語ってなんか魅力的ですよね。

 

f:id:gisele007:20170122111337p:plain

 

とりあえず、原作本のファンにも楽しめる内容だと思います。結末とか登場人物とかが違うから。原作本と映画、両方鑑賞したらより良いかな、『天使と悪魔』は。

以下、小説と映画両方のネタバレあり。

 

原作本はドキドキしっぱなしで、不覚にも(?)カメルレンゴが真犯人とは思いませんでした。というか、途中「怪しいんじゃ?」って思ったりもしたけど、人物造形があまりに素晴らしくて、感情移入しちゃったりで、最後には信じ切ってました。

だって世界に向けての演説とか・・・あれ、なかなかすごいと思いますよ。

 

で、読者にカメルレンゴが真犯人って分かってからは、あの気高いカメルレンゴが一転、内に燃えさかる狂気を孕んだ人にしか見えなくなる、あの描写。カメルレンゴの人物造形の素晴らしさが、原作本の魅力の一つかなーと思います。

でも映画は、カメルレンゴという、言ってしまえば「たかだか法王の侍従」の役をユアン・マクレガーが演じてる時点で、最初から、なんだかとってもうさんくさい。笑

まぁ仕方ないんですけどね・・・。

 

ユアン・マクレガーは、さすがの存在感ですね。

前法王の子供がカメルレンゴだった、という設定は映画では省かれてしまってるので、カメルレンゴの自殺の部分があまり心を揺さぶってくるほどのものではなかったけど、(民衆や枢機卿たちが彼の名を思わず連呼するシーンもなかったし)気高くて、その実、自分の信じる「教会」のために手段を選ばない傲慢さを持ったカメルレンゴが、ぴったりでした。

小説のカメルレンゴより、映画のカメルレンゴのほうが野心家度が高く見えるかな。でも内に秘めたる傲慢さという意味では、やっぱり小説のカメルレンゴがすごい。

 

で、私は小説のほうで、ラングドン教授が暗殺者と戦うシーンが納得いかなかったんです。(だってフツーの大学教授が、職業・暗殺者を相手にしてるにしちゃ、超人的すぎるんだもん。)

でも映画のほうでは、カメルレンゴが車に金を積んである旨のメッセージで暗殺者をおびきだし、カギを回した瞬間に爆発、というようになってたし、四大河の泉のとこでのラングドン教授の超人水泳シーンもなくなってたので、ラングドン教授はあくまでアタマを使って解決、という納得いきやすい仕上がりに。

それに、この筋書きにしたことで、映画版カメルレンゴの、コンクラーベに参加する枢機卿たちに対してまで隠しきれず表してしまう傲慢さと冷酷さが強調されたんじゃないでしょうか。

 

冷酷さといえば、暗殺者は、映画版のほうが人間味あふれてたかな。4人目の枢機卿なんか、殺す気ないようにさえ見えたし・・・。実際、4人目は助かったし。

 

ともかく私は、小説版カメルレンゴに心酔してしまった人間なので、色々と、ともすればちょっと表面的すぎる映画版カメルレンゴにやや不満~となってしまいましたが、(でも上記のとおり、映画版も違う良さはあります)映画としてはとても面白い作品だったと思います。

 

『天使と悪魔』単品で買うのとほとんど値段が変わらないので、前作とのセットがおすすめ。
最新作までの3部作を網羅したい方には最後にリンクを貼っているトリロジーパックもあります。

 

原作小説。カメルレンゴ関連の描写は鳥肌もの。

 

ラングドン教授シリーズ最新作。