The Tudors

今回は、私の大好きなドラマ『The Tudors』について。

以下、だらだらと長々と書いていますが、歴史ドラマ・宮廷内ドロドロドラマもしくはイギリス好きな方は、とりあえず観てください!百聞は一見にしかず!

このブログがまったく意味をなさなくなることをいきなり言いましたが、とりあえずそんな思いです。

ただ、このドラマが死ぬほど面白くなってくるのはシーズン1のエピソード3か4、沼から抜け出せなくなっている自分に気づくのはシーズン2なので(人によるとは思いますが)、どうか1話目でやめないでください…

 

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もともとイギリスの文化や歴史が大好きなうえ、このドラマにもよく出てくるロンドン塔やハンプトン・コートも非常にお気に入りの場所なので、観るしかない!という感じで観始めたのですが、あまりにもハマってしまい、1日10エピソード以上観続けたあげく、すぐに全シーズン(計4シーズン)観終わってしまいました。

※アン・ブーリン役ナタリー・ドーマーによるハンプトン・コートの紹介動画(音量注意)

www.sho.com

 

史実を基にしたドラマの性質上、そもそも公然とネタバレしているようなものなのであえて言わなくてもよさそうですが、念のため申し上げておくと、記事内でどんどんネタバレする可能性があります。というか、します。

 

過去にはイマジカBSで放送されていたようですが、現在は日本語字幕の入ったDVDも手に入りづらく、日本語字幕版となるとdTVで観ていただくくらいしか視聴方法がなさそうなのが残念なところ。シーズン1だけならU-NEXTの見放題で観ることが出来ますが…。(イマジカBSさん、再放送お願いします!)

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吹き替え版であれば、全シーズンAmazonビデオにてレンタル/購入することができます。

✳︎追記:Amazonビデオに字幕版もありますね。さすがAmazon。

英語が聞き取れる方・英語字幕がついていれば問題ないという方は、海外版Blu-rayがかなり手頃なお値段なので、そちらで是非。日本語字幕の制約上すべては訳しきれていない、素晴らしいセリフをお楽しみください!

 

 

 

『The Tudors』とは

このドラマはアメリカ・カナダ・アイルランド・イギリスの合作のソープオペラ(日本で言うところの昼ドラ)で、16世紀イングランドの王・ヘンリー8世の、30代〜その生涯を終えるまでのお話です。

シーズン1・2・4は10エピソード、シーズン3のみ8エピソードとなっており、計38エピソードで構成されています。

 

ヘンリー8世といえばテューダー朝(これが題名の由来ですね)2代目の王様で、6度の結婚、イングランドにおける宗教改革、また、彼の子の"ブラッディ・メアリー"ことメアリー1世、そして"ザ・ヴァージン・クイーン"エリザベス1世あたりが有名でしょうか。

ちなみに同時代にメアリーという名の女性が複数存在しておりまして、うち1人はこのドラマの中ではヘンリー8世の姉・マーガレット王女として登場するメアリー。また、現在NHKで放送中のドラマシリーズ『クイーン・メアリー』(原題"REIGN")の主人公で、スコットランド女王のメアリー・ステュワートもほぼ同時代の人です。(『クイーン・メアリー』についてもいずれ書きたいと思っています。)

エリザベス1世については、ヘレン・ミレン主演のミニシリーズや、ケイト・ブランシェット主演の映画『エリザベス』『エリザベス:ゴールデン・エイジ』などが有名。ちなみに、これらの映画2作の脚本を担当したマイケル・ハーストが、このドラマの脚本を担当しています。

 

ヘンリー8世を題材にした作品では他に、エリック・バナ、ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソンの出演した『ブーリン家の姉妹』(原題"THE OTHER BOLEYN GIRL")が有名ですね。ただしこちらはあくまで私的な物語で、当時の政治事情などはほぼ触れらていません。また、ヘンリー8世というよりは、題名通りブーリン家の姉妹=アン・ブーリンとメアリー・ブーリンが主人公です。

gisele007.hatenablog.com

 

製作者はソープオペラとしてこのドラマを制作したとのことで、それゆえ史実と異なる展開や人物設定もあるのですが、とうてい昼ドラだなんて思えないほどのストーリーの重厚さと衣装や建物や景色の美しさ、役者さんたちの熱演でぐいぐい引き込まれ、落涙必至のドラマです。

役者さんに対して「演技が上手」だなんて、演技のプロである彼らに失礼な気がしてあまり言いたくはないのですが(その割に軽い気持ちでよく言っちゃいます、反省)、このドラマに出てくる役者さんたちの演技のすごさときたら。演技のプロでないタレントさんやアイドルがドラマに出演することを否定するつもりはありませんし、なんならそういった日本のドラマを普段喜んで観ているのですが、やはりプロは違うなあ…などと陳腐な感想を、1エピソード観終えるたびに漏らさずにはいられませんでした。まあ、海外ドラマはたいがい、演技も演出もすさまじいですが。

 

最初の2〜3エピソードくらいは、放送開始直後のアイキャッチとしてか、登場人物の若さ(未熟さ)ゆえか、直接的な表現のセックスシーンが頻発します。その後も頻度は減るものの1エピソードにつき1回くらいは出てくるので、一緒に観る相手は選んだほうがよいです。暴力シーンについては、あまり直接的な表現はないので、『ゲーム・オブ・スローンズ』を指の間から観ているような私でも大丈夫でした。ただし、流血表現はあります。

 

 

【あらすじ】

16世紀、スペインやフランス、イタリアなどの強国に比べ弱小国だったイングランドで37年間に渡り王位に君臨し、野心で国の繁栄に尽力したチューダー朝2代目国王ヘンリー8世。アン・ブーリンやトマス・モアなど歴史上の人物が集う煌びやかな宮廷を舞台に、権力へのあくなき欲望を持つ王とその周りの人々の、陰謀や色欲がドラマティックに描き出されていく。カトリック教会により堅く禁じられていた離婚を繰り返し6回に渡って婚姻をした王は、果たして背徳者であったのか革新者であったのか?歴史の謎が今紐解かれる…。

(イマジカBS公式サイト海外ドラマ「THE TUDORS~背徳の王冠~」 | IMAGICA BSより)

 

 

主な登場人物

では、登場人物ごとに書いてみようと思います。(カッコ内は役者名)

長くなりそうなので、今回は、ヘンリー8世の2番目の妻アン・ブーリンとの出会いから腹心ウルジーが失脚するまでを描いたシーズン1、そしてウルジーに替わって平民出身のクロムウェルが重用されて本格化する宗教改革からアン・ブーリンの処刑までを描いたシーズン2の内容について触れることとします。

 

ヘンリー8世(ジョナサン・リース=マイヤーズ)

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いわずと知れた、このドラマの主人公。シーズン1開始時点では30歳代。

このドラマを観るまで、先述の『ブーリン家の姉妹』の影響もあり、「世継ぎの男の子が欲しいし、アン・ブーリンが好きだ!結婚したい!カトリックが王妃との離婚を認めない?それならカトリックから離脱してやる!」「男の子も産まれないし、アン・ブーリンにも飽きてきた。適当に罪をでっち上げて処刑して、次の女性と結婚しよう!」というようなただただ超・身勝手な暴君(たとえこの時代には王の権力が絶大なものだとしても。)のイメージしかありませんでした。

シーズン(以下Sと記載)1エピソード(以下Eと記載)1・2あたりは、このドラマ内でもほぼそんな印象です。ただ、ジョナサン・リース=マイヤーズがものすごく魅力的なのと、脚本の力で、ただの困ったさんには全く見えないのがすごいところ。野心と才気と若さと魅力に溢れる王様ですもの、このくらいのやんちゃさはあるよね!と自然に思わされるだけの説得力があります。

S1においては、若さゆえか、政治は基本的に腹心ウルジーに任せぎみ。フランスと和平条約を結びに行ったのに、ささいなことでフランス王(この方がまた魅力的)と揉めてレスリングを始めたりしてしまったりします。王妃キャサリン・オブ・アラゴンとの間には女の子(のちのメアリー1世)がいるものの、テューダー朝を盤石な体制にするためにも、世継ぎとなる男の子が欲しいヘンリー。しかし王妃との間には男の子には恵まれない。焦りからか、宮廷内にたくさんの愛人を作ります。

そんな中、臣下であるノーフォーク公(演じるのは映画『ミッション:インポッシブル』やドラマ『リベンジ』のヘンリー・ツェニー)やトーマス・ブーリンが自分たちの出世のために、アン・ブーリンを王妃の侍女としてヘンリー8世に近づかせます。ヘンリーは才女アン・ブーリンの魅力の虜となり、愛人にしたがりますが、姉メアリーがかつてヘンリーの愛人だったこともあり、アンは、愛人ではなくヘンリーの妻になりたいと希望します。

ヘンリーは王妃と離婚してアンと結婚するために、腹心ウルジーにあれこれ策を立てさせますが、うまくいきません。S1E10でのウルジーの失脚後は、平民出身のクロムウェルやアンの父であるトーマス・ブーリンを重用しますが、クロムウェルはその頃ドイツで盛んだった宗教改革に傾倒していました。王妃との離婚を許可しないローマ法皇に業を煮やしたヘンリーと、宗教改革を推し進めたいクロムウェル、自分の一族の出世と地位の安定を望むがゆえにアンを王妃にしたいトーマス・ブーリンの利害が一致した結果、ついにヘンリーはカトリックからの離脱を決心します。この頃のヘンリーは世継ぎとなる男児の誕生への渇望と、アンへの愛(欲望)、そして頑なに離婚を受け入れない王妃への苛立ちから、まさに暴君となってしまいます。

若いころから先生、そして忠臣として敬愛しつづけてきたトマス・モアを苦渋の決断ながら処刑してしまいますが、このことがヘンリーの心に深い影を落とします。アンを王妃としたものの、産まれた子はまたしても女児(のちのエリザベス1世)。その後もアンは男児を授かりません。また、カトリックから離反したことで、イングランドはフランスや神聖ローマ帝国(皇帝は前王妃キャサリン・オブ・アラゴンの甥)といった大国の中で孤立してしまい、ヘンリーは焦りを感じます。そうした中で、ヘンリーのアンへの愛情は冷めきってしまうのでした。

ジョナサン・リース=マイヤーズは本当にこの役にぴったりで、世継ぎがいないこと、そしてフランスや神聖ローマ帝国と比べれば小国に過ぎないことへの焦燥感に駆られているという理由があるにせよ、傲慢で冷静さを欠くヘンリー8世像をよく体現しています。S2以降の彼の姿は、ドラマ中の「己の力の大きさを知った獅子は手に負えない」(だったかな…)という言葉がまさにぴったり。今の感覚でいうと「それはひどいんじゃ?」と思うようなことを続けていても、ジョナサン・リース=マイヤーズの魅力で、ヘンリー8世がものすごくアブナくて魅力的な人物に思えます。なお、ヘンリー8世のこの直情的な性格は、もともとは彼は世継ぎではなく、次期国王としての教育を受けていなかったためかなと思ったりもします。

 

キャサリン・オブ・アラゴン(マリア・ドイル・ケネディ)

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ヘンリー8世の最初の妻。今でいうところのスペイン人。イングランドの王太子(ヘンリー8世の兄)に嫁いだものの、結婚から数ヶ月で夫が亡くなったため、ヘンリー8世と結婚。なお、兄弟の妻だった女性を妻とすることは聖書の一節に抵触するため、ヘンリー8世との結婚時にはローマ法皇が特別に許可を出しています。アン・ブーリンと結婚したかったヘンリーは、この時のことを持ち出し、聖書に抵触する結婚はそもそも無効であると主張して、カトリック教会に彼女との結婚の解消(というかそもそも結婚していない)を認めさせようとしました。

S1序盤では浮かない顔で静かに笑みをたたえるのみであまり存在感が強いとはいえないキャサリン・オブ・アラゴンですが、離婚問題に直面して、どんな扱いをされようと常に気高く、強い意志を持って行動していたのがとても印象的でした。あまりに堂々としているその姿に、アン・ブーリンが憎しみを募らせたのも納得できます。
S2から登場する彼女の娘メアリー役のサラ・ボルジャーも、少女ながら眩しいまでの気高さを放っていて驚きました。

 

アン・ブーリン(ナタリー・ドーマー)

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ヘンリー8世の2番目の妻。フランスの宮廷でフランス王妃に仕えていましたが、父であるトーマス・ブーリンたちの差し金で、キャサリン・オブ・アラゴンの侍女としてイングランド宮廷に入り、ヘンリー8世を誘惑。過去にヘンリー8世の愛人であった姉メアリーのことが念頭にあり、また父親たちの意向、そして本人のヘンリーへの愛から、愛人に甘んじることはせず、肉体関係を餌に結婚を迫ります。宗教改革の支持者であり、クロムウェルに渡された本をヘンリーの前でちらつかせ、カトリックから離脱すれば政治的にも宗教的にもヘンリーが最高権力者になれるという考えを、それとなく、でも確実に吹き込んでいくところが恐ろしい。

S1でヘンリーの愛を一身に受けている時期〜S2序盤で王妃となった時期の彼女の図に乗った感じは、キャサリン・オブ・アラゴンの堂々とした、しかし切ない姿と相まって、ドラマと分かりつつ真剣に腹がたつほどでした(笑)

しかし、エリザベス1世を妊娠中に愛人を作るヘンリーにやきもきしたり、産まれた子が女児とわかって失望の色を隠そうともしないヘンリーの姿に悲しんだり、ヘンリーの自分への愛が急速に冷めていっているのを感じて嫉妬心を募らせたり、前妻キャサリン・オブ・アラゴンを目の敵にしたり、「彼女と私、どちらかが死ぬしかない」とメアリー1世を恐れつつ憎んだり。王族として産まれ、王の妻となるべく教育されてきたキャサリン・オブ・アラゴンの終始落ち着き払って慎ましい態度とは違う、ある意味ものすごく普通の女性っぽいところが、アン・ブーリンを憎めないところです。普通っぽいとはいいつつ、すごく賢い女性としても描写されていて、気の利いた会話が出来て語学に堪能、政治についても彼女なりのしっかりした考えがあったようです。ただしこの時代の女性にはそういった類の賢さは求められておらず、ヘンリーにも何度も「政治に口を出すな」と釘をさされてしまいます。

処刑に際して、必死に恐怖心と戦いつつ、自分が無罪であることは自分が一番知っているのだからと、できるかぎり気高く居ようとしている姿には涙。もともとアン・ブーリンには良い印象はなかったのですが(『ブーリン家の姉妹』でもなんとなく嫌な人)、政治の道具にされながら懸命に生きた女性という印象に変わりました。

演じているナタリー・ドーマーさんはこのドラマで初めて知ったのですが、不思議な魅力がありますね。典型的な美人ではないのですが、刺すような目つきに上向き気味のつんとした鼻、薄い唇で、コケティッシュというか、小悪魔的というか。ファムファタルってこういう人かなと思わせられるような方です。

 

チャールズ・ブランドン/サフォーク公爵(ヘンリー・カヴィル)

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クリプトン星からやってきた、カル=エルことスーパーマン。

ヘンリー8世の友達兼臣下。友達兼臣下は3人いるものの、出ずっぱりなのはブランドンだけです。S1ではヘンリーと同じく、というかその100倍くらい考えなしで、友達にも「下半身で考えただろう」と言われるほど軽い男。野球少年のようないがぐり頭とチャラすぎる性格のコンビネーションがなんとも言えません。

「さすがに俺の姉には手は出せないだろう」とヘンリーの姉であるマーガレット王女の輿入れの護衛を任されますが、そこはThe Tudorsイチのチャラ男ブランドン!行きの船でさっそくマーガレット王女とベッドインしてしまいます。ちなみにマーガレット王女役は、ドラマ『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』にてフィー(フィオナ)を演じているガブリエル・アンウォー。輿入れ先のポルトガルに着いたマーガレット王女は、結婚相手のジジイポルトガル王を見て卒倒、挙げ句の果てには火サスよろしく枕で窒息死させます。そしてブランドンは、ヘンリーに無断で、結婚相手が死んだ(というか殺したんですが…)ため帰国する王女と、帰国の途上で結婚してしまいます。ヘンリーが怒りそうで怖いので、友達に自分たちが結婚したことを報告してもらいますが、ヘンリーは当然激怒。ブランドンを宮廷から追放します。追放されて自宅で暮らしているブランドンのところへトーマス・ブーリンがやってきて、もともとウルジーが嫌いなブランドンに、「ウルジーが失脚するよう手伝ってくれたら、宮廷に戻れるようにノーフォーク公が手配してあげる」と持ちかけたので、トーマス・ブーリンとノーフォーク公と手を組むブランドン。しかし妻であるマーガレット王女は王族なのでアン・ブーリンのことを認めておらず、「弟はあの女に籠絡されてしまっている」と悔しがり、トーマス・ブーリンたちと手を組んだブランドンを非難します。

勢いで結婚したものの、そもそもがチャラ男のブランドンは、すぐに浮気ざんまいをはじめます。一方、病魔に冒されていくマーガレット。マーガレットの最期のシーンは、ブランドンが浮気相手とセックスに興じているシーンと交互に映るのですが、我がことのように悔しかった!ブランドンの馬鹿!!!マーガレットの遺体を前にしたブランドンは心から後悔した様子をみせます。そして、次の奥さん(若くてピチピチで可愛い)と結婚する際、彼女のことを大事にすると心に誓います。マーガレットが亡くなってけっこうすぐに若妻を娶っていてエッとなったのですが、この時代はこんなものなんでしょうね。ヘンリーも怒っていないし。

奥さんを大事にするようになっただけではなく、性格も次第に落ち着いて思慮深くなってくるブランドン。ヘンリーに従ってはいますが、内心ではキャサリン・オブ・アラゴンに敬意を抱き、また、宗教改革や、ブーリン一族に不信感を抱きます。城から去るキャサリン・オブ・アラゴンを見送るときや、トマス・モアの処刑を見守るブランドンの眼差しは、悲しみに満ちています。また、アン・ブーリンに軽く扱われて激怒する場面も。若くて可愛い奥さんはとてもしっかり者で、適切な時期を待ってブーリン一族を失脚させるようブランドンを諌めたりするので、私はいたく感心しましたよ(何様?)。そして、機は熟すのでした。

 S1ではいがぐり坊主姿で私をがっかりさせたものの、S2では見違えるように美しいお姿を披露し、私を感喜させてくれたヘンリー・カヴィル。大ファンなのにこんなこと言うのもなんですが、正直言ってスーパーマンとしての彼はなんかあまりパッとしないように思えてならない(特に『マン・オブ・スティール』)のですが、The Tudorsの彼は素晴らしい!超絶チャラ男時代も『コードネームU.N.C.L.E.』的な感じで好きですし、思慮深くなってからの彼も素敵です。すみません。素敵とカッコいいみたいなことしか言ってませんが、演技も素晴らしいです。

 

トマス・モア(ジェレミー・ノーサム)

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有名な『ユートピア』の著者。ヘンリー8世の先生であり、もっとも信頼されている忠実な臣下。静かに暮らすことを望み、宮廷から離れた場所で家族と住んでいます。

S1では後述のウルジーと一緒によく出てくるのですが、ウルジーとは対照的に、非常に清廉で高潔な人物として描かれています。しかしただのいい人ではなくて、敬虔なカトリックゆえに、宗教改革に関する書籍を集めて残らず燃やしたり、S2冒頭では宗教改革派の人間を火あぶりにする冷酷さも。

ヘンリー8世の離婚問題については公式に発言しないと誓ったものの、クロムウェルが主導した国王至上法(国王をイングランド国教会の長とする、つまりカトリックから離反して、政治的にも宗教的にも国王がトップとなる)への宣誓を拒否して、同じく宣誓を拒否したフィッシャー司教と同じくロンドン塔に幽閉されてしまいます。

彼を処刑したくないヘンリーは何度も機会を与え、また、彼の家族は「宣誓することとカトリックを捨てることは異なる、心の中でカトリックを信じ続ければいい」と彼を説得して宣誓させようとしますが、「宣誓した者を非難する気はないが、自分には出来ないことだ」と最後まで宣誓を拒否しつづけます。結果的にトマス・モアは処刑されてしまいますが、彼の死はヘンリー8世の心に深い傷となって残り、アン・ブーリンとの不和の一因となります。

自宅での家族との別れ、そしてロンドン塔での奥さんと娘とのやりとり、処刑されると分かっていても絶対に信念を曲げない強い意志、ヘンリーはアンに目が眩んでいるだけでいつか目をさましてくれるという願い、刑の宣告や処刑の際の諦めにも似た表情を浮かべつつも凛とした態度など、このドラマでもっとも私をボロ泣きさせた存在です。彼が処刑されたS2E5は涙が止まらず、観終えるのが大変でした。

 

ウルジー(サム・ニール)

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枢機卿。ハンプトン・コートのもともとの持ち主。S1においてもっともヘンリーに重用されていた人物。中の人サム・ニールは『ジュラシック・パーク』の恐竜おじさん。

法皇になるという野心を持っていて、狡猾。目的のために無実の他人を陥れることも厭わない。とはいえ、彼の亡きあと、ヘンリーが家臣たちに「ウルジーはたった1人で、文句も言わず、素晴らしい政治的手腕を発揮していた」と発言しているように、非常に優秀。一般市民へもわりと優しい態度。

ヘンリーとキャサリン・オブ・アラゴンの離婚のために奔走するも、うまくいかず、アン・ブーリンによって「私たちが結婚することを快く思わず、わざと妨害してるんだわ」と吹き込まれたヘンリーの怒りを買います。のみならず、トーマス・ブーリンやブランドンらによって、私腹を肥やしていたことまでバラされ、職を罷免されたうえ財産は没収。S1E10にて、獄中で自害しました。(史実では病死)

サム・ニールは老獪なウルジーを熱演。策略家で出世欲が強くてイヤな人なのですが、一方で「おっちゃん、頑張り過ぎやで…」と思わされるほどワーカホリックであり、最後まで憎めないキャラクターでした。

 

 

 

大好きな作品ゆえ、少し紹介するつもりが長々と書いてしまいました。

興味を持っていただけたら、まずはdTV(docomo以外の方も視聴可能。パソコンでも観れます。月額500円)もしくはAmazonビデオのレンタルで観てみてください。そしてハマっていただけたら、ぜひ私に教えてください!(笑)