エクス・マキナ

冒頭から最後まで、じんわりした緊張感に包まれる作品。

 

はっきりと怖かったり、目を背けるようなシーンがあるわけではない。
それなのに全編に漂う、底知れぬ、不穏で、ただ事ではない空気。

 

登場人物はたったの4人。

ノリにノッてるアリシア・ヴィキャンデルが、またもや圧巻の演技。本当に主人公に恋していたとも取れるし、はたまた脱出のために籠絡して利用したとも取れる、どちらかに振れすぎることのない絶妙にアンバランスな演技がすごい。眉の動かし方、目線、歩き方、どれをとってもAIなんだけど人間、人間なんだけどAIという感じで、恋する乙女であり、何を考えているのか分からない不気味さもあり。

そしてドーナル・グリーソンも、いつもながら微妙な表情が巧い。狂気さえ宿る目の光。オスカー・アイザックは傲慢かつ胡散臭いキャラクターがすごくハマっており、観客は最後まで「この男の真意とは?」と疑いの目を向けさせられる。また、ソノヤ・ミズノは台詞こそないものの、戦慄的な無表情ぶりが本当に怖い!

 

現代社会への警鐘だとか難しく考えなくても、さらっと観ただけでヒヤリとできます。

にしても、同じくアリシアの出演している『ジェイソン・ボーン』もそうだけれど、ネット社会、便利で、そして恐ろしいですね。もう抜け出せませんけれど。

 

Ex Machina 2016年6月11日公開